Ameotoko (雨男)
酷く疲れた幾つもの顔が 車窓に並ぶ東横線の高架僕はと言えば幸か不幸か 道外れた平日の落伍者音沙汰ない友達と重ねる 若かった親父を空想する河川敷を覆う黒い雲が 暗くしたのは僕の行く末か
孤独と歩む創作の日々は ぬかるんだ道で途方に暮れた迷子が泣き叫ぶ声にも似た 「愚にもつかない弱虫の賛歌」そう後ろ指さされる事に むきになる己を恥と言うな暗闇と生涯暮らすには 僕はもう沢山知りすぎた
優しくされたら胸が震えた それだけの為に死んでもいいや本気で思ってしまった 笑ってよ 笑ってくれような垂れて覗き込む水溜り 映り込む泣き顔踏みつけたり上手くいかねぇもんなんだな 今日も土砂降りそういや いつかもこんな雨だった
未来の話は嫌いだった だから約束もしたくなかった久しぶりに電話をかけてきた 聡は酷く酔っぱらっていた何も変わらない地元訛り 泣きそうになる会話の端々馬鹿な世間話をした後に 約束したんだ「行こうぜ飲みに」
がむしゃらに駆けた無謀な日々を 懐かしむだけの飾りにするな恥さらしのしくじった過去と 地続きの今日を無駄となじるな心が潰れた土砂降りの日に すがるものはそれ程多くないだからあえて言わせてくれよ 未来は僕らの手の中
友達の約束を守らなきゃ それだけが僕の死ねない理由本気で思ってしまった 笑ってよ 笑ってくれような垂れて覗き込む水溜り 映り込む相変わらずな僕に苦笑い一つ放り込む 今日も土砂降りそういや いつかもこんな雨だった
悲観 楽観 交互に積み木崩し 振り返る度に痛む傷口とうの昔に忘れたはずの笑い話乗るか反るか? 行くか戻るか? 雨か晴れるか? やるか止めるか?勝つか負けるか? 立上がれるか? やり直せるか? 生きるか死ぬか?「やまない雨はない」「明けない夜はない」とか言って明日に希望を託すのはやめた土砂降りの雨の中 ずぶ濡れで走っていけるか?今日も土砂降り
そういや いつかもこんな雨だった